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節、水域によっては砕氷船並の構造でなければ不可能であることが分かる。また、その耐氷橋造にも細かなグレードが設定されている。領海区分図と、船舶のグレード別航行可能季節一覧表を図4−1及び表4−1に示す。
船舶検査の担当部署は、本調査を始めた当初はカナディアン・コーストガードであったが、書簡による質問への回答者は宛て先と同一人であったにも拘わらず所属は運輸省となっており、行政組織の改籍によりコーストガードは消滅した。コーストガードの職員は運輸省内の陸、海、空各部門に分散され、一部は漁業海洋省のプレジャーボート検査部門に移った。組織改編は現在も続けられており、将来構想は前章訪問記に示したが見通しは不透明である。
船舶の構造・設備を規制する法律には「カナダ船舶法」(CAMDA SHIPPING ACT)と前記の「北極海汚染防止法」とがあり、これらの法令はインターネットhttp://www.tc.gc.ca.で知ることができる。
船舶検査官の数は約350人いたが300人になり、今後さらに減少が見込まれる。海外への出張検査は原則として行わず、船級協会の試験検査成績を活用する。
中国、ロシア、ポーランドを除く“世界主要船級協会”(IACSメンバーを指すと考えられる)の検査を認めているとのことであるが、我が国におけるNKや、米国におけるABSに相当する程に検査項目を委任しているのはABSとLRのみと推察される(98頁、資料3−2−2.参照)。各船級協会に付与している事項の一覧表は見せて貰えなかった。SOLAS条約証書、満載喫水線証書、汚染防止証書等の発給の権限を全面的に船級協会に付与している。しかしカナダ商船隊のうち、船級を有するのは8%程度であり、船主が積極的に船級協会を活用するためには政府の検査料金の改定を必要とし、その段階的改定には数年を要すると考えている。
型式承認は外国メーカーも受けられるとの回答であったが、手交された船灯の型式承認関係文書によるとカナダ運輸省が証明書を発給するのはカナダ型に限られている。ただし、海上衝突予防条約加盟国の証明を受けているものはカナダ隻船舶に搭載することは認めている(参考資料3−2−3)。船用品をカナダ隻船に搭載しようとするか、型式承認をうけようとする場合は、物件毎に問い合わせる必要があろう。
書簡での質問への回答では、必要な法令改正は’93年に終えているとのことであったが、これは技術基準を指しているもので、検査制度に関しては今後大幅な改革が予見される。船舶検査の船級協会等の民間機関活用の方途については米国コーストガードと定期協議を有している。USCGの方針の影響をかなり受けることとなろう。目下の注目される制度改革は、米国と同様ISMコードの実施と船級協会への検査項目の移管であろう。

 

 

 

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